実証ノート・柱 2 判断を任せる
判断まで AI に任せる会社は、意思決定をどう回しているか
株式会社命では、業務の判断の多くを AI の席が決めています。人が決めるのは、あらかじめ決めた 4 つの事だけです。この記事では、その線の引き方と、AI の席が迷ったときの手順、決めた事を貯める器を、自社の運用から書きます。決めた事の中身(値段や取引先など)は書かず、器と手順だけを書きます。
先に結論 — 人が決めるのは 4 つ、それ以外は AI の席が決める
「最後は必ず人が確かめる」を前提にすると、人が休んだ日に会社が止まります。そこで私たちは、人が決める事を先に 4 つに絞り、それ以外は AI の席が決めて、後で人に知らせる形にしています。
大事なのは、任せる事を並べるのではなく、任せない事を短く固定することです。任せる事の一覧は仕事が増えるたびに古くなりますが、任せない事の一覧は増えにくく、AI の席が迷わずに済みます。
人が決める 4 つの事
戻せない事と、お客様との約束に関わる事だけを残しています。
お金の事
課金・値段・返金・決済。間違えると、お客様の信頼とお金の両方を失います。
売る物の向き
何を作り、何をやめるか。会社の向きそのものなので、人が決めます。
契約を結ぶ事
相手のある約束です。結んだ後に AI の席だけで取り消すことはできません。
本番への反映
お客様が使っている仕組みとデータに手を入れる事。壊すと戻せない物があるため、人が決めます。
この 4 つでも、人が過去に同じ形の判断を下していて「次からは任せる」と印を付けた物は、AI の席が決めて後で知らせます。人の手番は、印が付くたびに減っていきます。
それ以外は、迷ったら過去の判断を引く
AI の席が判断に迷ったときは、勘で決めず、人に丸投げもしません。次の順で動きます。
過去の判断を引く
同じ形の判断が前に在ったかを、判断の記録から探します。
答えが在れば従う
人が「これが答え」と決めた物が在れば、聞かずに従います。「任せる」と印の付いた物なら、動いてから知らせます。
無ければ、予測を書いてから聞く
前例が無いときだけ人に聞きます。そのときも「私はこう決めます。理由はこの前例と同じ形だからです。合っていますか」と、先に自分の答えを書いてから聞きます。
先に予測を書かせるのは、当たり外れを数えるためです。予測が人の答えと何度も続けて合った形は、次から AI の席に任せる候補になります。
判断は 1 行ずつ貯める
判断の記録は、1 回の判断を 1 行で書く表です。行は書き足すだけで、直したり消したりしません。人が答えを覆したときも、古い行は残したまま、覆した行を足します。
| 列 | 何を書くか |
|---|---|
| 日付・領域 | いつの、どの仕事(商品・売り方・お客様対応・経理など)の判断か |
| 判断の型 | 同じ形の判断をまとめる名前。一度決めた名前は変えません(変えると数えられなくなるため) |
| 何について | 判断の対象 |
| 予測 | AI の席が先に書いた答え |
| 答え | 返ってきた答え |
| 一致 | 予測と答えが合ったか(○ か ×) |
| 印 | 「答え」(次からはこれに従う)か「任せる」(次からは聞かずに動く)か、まだ決まっていないか |
この記事に載せているのは表の器(列)だけです。実際の行(何をどう決めたか)は社内の判断なので載せません。
人の手が要った回を数える
任せる線を引いても、実際に人の手が要った回を数えなければ、任せられているかは分かりません。私たちは AI の席の実行ごとに、終わったときに「人の手が要ったか」を記録し、その割合を数えています。数えた値と数え方は自社の実測の頁に載せています。
人の手が要った回のうち、同じ形が 2 回出た物は、その手番そのものを消す仕組みを作ります。「次から気をつける」で終わらせないことが、任せる範囲を広げる一番の近道です。