Human in the loop とは、自動で動く仕組みの途中に、人の確認や判断の手番を組み込む設計のことです。

  • ヒューマンインザループは否定せず、人を「最後に必ず」ではなく「残すと決めた場所だけ」に置く考え方
  • 自社の記録では、人が呼ばれた原因は「人の確認」より「つなぎ口と段取り」が多かった(社の実測 2026-10-19)
  • 人の手が要った回は必ず記録し、同じ形が二度出たら手番そのものを消す。その減らす順番

人を入れる事は正しい。問題は「最後に人」を前提にする事

Human in the loop(ヒューマンインザループ)は、AI エージェントや自動化の仕組みに人の目を入れて、間違いを止めるための考え方です。戻せない事や、相手との約束に関わる事に人の判断を残すのは、今でも正しいやり方です。

困るのは、「どうせ最後は人が確認する」を前提に仕組みを組んだときです。確認の手番がすべての仕事の出口に並ぶと、人が休んだ日や手が離せない日に、仕事の流れごと止まります。しかも確認する側は、毎回ほぼ同じ物を見るうちに、見ているつもりで通すようになります。

そこで私たちは、問いを「人を入れるか」から「どこに人を残すか」に変えました。人を残す場所を先に線で決め、それ以外で人が呼ばれたら、それは仕組みの穴として扱います。

人を残す場所と、残さない場所

線の引き方は単純です。間違えたときに戻せるかどうか、相手のある約束かどうかで分けます。

場所人を残すか理由
戻せない事・相手との約束に関わる事残す間違えたときに AI エージェントだけでは取り返せないため
前に人が同じ形で答えを出した事残さない過去の判断に従えば決まるため。動いた後に人へ知らせる
毎回同じ物を見て通すだけの確認残さない人が見ても間違いを止める力が弱く、止まる場所だけが増えるため
ログインや権限など、つなぎ口の手当て残さない(消す対象)判断ではなく段取りの穴。仕組みで塞げるため

人が決める事の線そのものと、AI エージェントが迷ったときの動き方は、判断まで AI に任せる会社は、意思決定をどう回しているかに書いています。この記事は、その線を引いた後に「実際には何で人が呼ばれているか」を見た記録です。

人の手が要った回は、何が原因だったか

株式会社命では、AI エージェントの仕事で人の手が要った回を、原因と一緒に判断の記録へ書いています。その原因を分けて数えると、次のようになりました。

原因中身の例割合
仕事の流れの段取り時計(決まった時刻に起こす仕組み)・機体・口座38.6%
外のサービスにつなぐ口ログイン切れ・権限・確認コード30.7%
人が決める線に当たったあらかじめ人が決めると定めた事に届いた9.1%
手順書の不足AI エージェントが読む手順に書いていなかった1.1%
原因の記入なし人の手が要った事は書いたが、原因の欄が空20.5%

出典: 社の実測 2026-10-19(株式会社命の判断の記録・「人の手が要った」と記録した行の原因の内訳)

この表に件数の分母は載せていません。人の手が要った回の全体の割合と数え方は、自社の実測の頁にあります。

人を呼んでいたのは「確認」ではなく、つなぎ口と段取りだった

表で目立つのは、本来の Human in the loop、つまり人が決める線に当たって人が呼ばれた回が 9.1% にとどまる事です(社の実測 2026-10-19)。人の判断が要る場所で人が呼ばれるのは、設計どおりの動きです。

一方で、段取りが 38.6%、つなぎ口が 30.7% でした(社の実測 2026-10-19)。時計が起きなかった、機体が止まっていた、外のサービスのログインが切れていた、確認コードを人が受け取る必要があった。どれも人の判断ではなく、人の「手」が要っただけです。

つまり、人の手番を減らしたいときに最初に疑うべきは「AI エージェントの判断が足りない」ではありません。仕事の流れの段取りと、外のサービスとのつなぎ口です。ここを塞がないまま「AI にもっと判断させよう」と考えても、人が呼ばれる回はあまり減りません。

人の手番を減らす順番

表の大きい順に手を付けるのが基本です。ただし、原因の欄が空の行は、どこを塞げばよいかが分からないので、先に埋める仕組みを作ります。

  1. 原因を書かずに閉じられないようにする

    原因の記入なしが 20.5% ありました(社の実測 2026-10-19)。人の手が要った回を書くときに、原因の欄も必ず埋まる形に変えます。原因が分からない行は、減らす順番を決める材料になりません。

  2. 段取りを塞ぐ

    時計が止まった、機体が落ちていた、口座の手当てが要った、という段取りの穴を、見張りと自動の立て直しで塞ぎます。表でいちばん大きい原因です(社の実測 2026-10-19・38.6%)。

  3. つなぎ口を塞ぐ

    ログイン切れや権限、確認コードで止まる所を一つずつ洗い出し、切れる前に気づく仕組みや、人を通さずに受け取れる形に変えます(社の実測 2026-10-19・30.7%)。

  4. 手順書の不足を埋める

    割合は小さいものの、手順に書き足せばその場で消える穴です(社の実測 2026-10-19・1.1%)。

  5. 人が決める線は残す

    人が決める線に当たった回は、減らす対象ではありません。ただし、人が同じ形の答えを続けて出した事は、次から任せる候補として線を見直します。

同じ形が二度出たら、手番そのものを消す

私たちの決まりは二つだけです。一つ目は、人の手が要った回は必ず記録すること。小さな手当てでも、記録しなければ「人が支えている所」が見えなくなります。

二つ目は、同じ形が二度出たら、その手番を消す仕組みを作ることです。一度目は事故かもしれませんが、二度目は仕組みの形です。ここで「次から気をつける」で終わらせると、三度目も人が呼ばれます。気をつけるのは人で、人は休むからです。

この決まりを続けると、人が呼ばれる場所は、最初に線を引いた「人を残す場所」へ少しずつ寄っていきます。Human in the loop を、出口すべてに並ぶ確認ではなく、残すと決めた場所だけの判断にしていく。それが、人を前提にしない自動化と、人を残す設計を両立させるやり方です。

よくある質問

Human in the loop は、AI に任せる会社には要らないのですか。

要ります。戻せない事や相手との約束に関わる事には、人の判断を残します。要らないのは、すべての出口に「最後は人が確認する」を置く前提のほうです。

ヒューマンインザループと、人がすべてを承認する運用は何が違いますか。

人を入れる場所を決めているかどうかです。ヒューマンインザループは、人の手番を設計の一部として決まった場所に置きます。すべてを承認する運用は、場所を決めずに人を出口に置くので、人が止まると仕事も止まります。

人の手番を減らすには、まず何から手を付ければよいですか。

人の手が要った回を原因つきで記録し、多い原因から塞ぎます。自社の記録では、人の判断よりも段取りと外のサービスへのつなぎ口で人が呼ばれていました(社の実測 2026-10-19)。

「同じ形が二度出たら消す」は、どう判断しますか。

記録した原因の欄が同じ形かで見ます。二度目が出た時点で、注意書きで済ませずに、その手番が起きない仕組みを作る仕事として扱います。

出典

  • 株式会社命の実行の記録・判断の記録・予約の一覧(2026-10-19 に数えた)